良い病院の指針
私達一般の人にとって、良い病院とは安心して診療や治療を受けることのできる病院です。特に最近、大きな総合病院や大学病院などの先進的な医療を先導すべき医療機関での治療ミスなどの不祥事が頻発している中、これはとても重要な価値基準となってきています。
病院で働く看護師にとってはどうでしょうか。はっきり言えば、上記のことなど当たり前のことであり、それで良い病院であるという判断はしないのではないでしょうか。
患者さんが安心して治療を受けることのできる病院は普通の病院であり、より質の高い医療を提供できる病院を良い病院と判断し、そうした病院なら自分の看護技術の習得にも良いはずだと判断することができるはずです。これは単に看護師個人のメリットではなく、社会全体にとって福祉と健康に寄与するというメリットがあります。つまりは世間さまのためでもあるわけです。これが例えば飲食店などであれば口コミなどを見て判断することができるのですが、医療機関の質の判断を口コミで決めてしまうというわけにはいきません。何か客観的な指標となるものが必要となります。
こうした判断を中立的かつ科学的に行っているのが日本医療機能評価機構です。
なんだか難しい組織のように思えますが、その理念は明快です。倫理と自立性を持って、客観的な立場から中立・公正な判断で安全で信頼できる医療の確保をするために事業に取り組み、国民の健康と福祉に寄与することを目的としています。主な事業としては病院の活動を第三者視点で評価し、その病院の良い点や課題点を洗い出します。そして、一定の水準を満たしている病院については認定病院として認定します。この認定を受けた病院は、簡単に言えば医療サービスの向上のために不断の努力を行っている病院であることが客観的に証明されているということになります。患者さんにとっては信頼できる病院であることが分かる上、看護師にとっては看護のあり方、看護技術の向上のために取り組みを行っている病院であるということが分かります。また、評価の中には改善すべき点の指摘もあります。そこを改善するための努力も認定病院は常に続けているのです。既に一定の水準を満たしているだけでなく、より良い病院作りを推し進めている病院で働くことは、高い看護技術を身につける近道であることは間違いありません。自分のキャリアプランに照らしあわせて認定病院を選ぶことは、今後の看護師としてのキャリアの大きな助けとなるはずです。